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制作の記録と日記

#00094 撮影準備の追い込み

分割撮影のテストを繰り返している。パンの移動幅とノンパララックスポイントの決定。本番撮影までの3週間、撮影手順を確認しミス無く撮れるように準備を進めていく。

 

完全なインドアタイプな自分の人生でジャングルの中を歩く日が来るなんて思ってもみなかった。虫も嫌いだ。それも自腹で40万近くかけて行くんだから、写真家って変な人種なんだなと思う。

 

最善なイメージを捕まえるためにはどんな手段も検討し、それを実行するまで準備を怠らない。

 

#00093 トレーニング再開

ジャングル撮影に向けたトレーニングを再開。腹と顎周りのたるみは既に笑えないレベルになっているのでこの2ヶ月で無駄な脂肪を無くしていく。今の状態ではジャングルに入っても移動に精一杯で撮影どころではないだろう。山梨に引っ越して車を買ってからはウォーキングもほとんどしなくなって慢性的な運動不足になっていた。都会のウォーキングは目に入ってくる情報量が多いので歩いていて楽しいし英語のリスニングも兼ねて毎日やっていた。英語のリスニング力もだいぶ落ちてしまった。ソロモン諸島英語圏でもあるので英語のトレーニングもこれを機に始めた。

 

先週末は東京都写真美術館で行われた写真プレゼンテーションのワークショップに参加。同級生のエノと再会。アットホームな雰囲気で写真集作りの背中を押してもらえたし、ワークショップが続くなら完成まで定期的に参加していきたい。

講評会に参加することはそれほど多くないが、講師となる写真家や批評家によっては時に殺伐とした講評会に出くわすこともある。ダメ出しの連続や人格否定的な場面もあるんだけど、褒められて帰ってくるのとめちゃくちゃ言われて帰ってくるのでは制作の面では後者の方が逆にやる気にさせてくれることもあった。「今に見てろよ」という気持ち。尊敬する写真家にこっぴどく言われた時は数ヶ月間立ち直れないこともあったけど、その言葉は未だにしこりのように残り制作の糧になっている。

 

機材面では動画編集用のパソコンを購入。DAIVのDGX750M1-SH5。これで動画編集のストレスはだいぶ減ると思うしCGも充分使えるレベルになるだろう。パソコン、VRヘッドセット、分割撮影用のアダプターなど、ここ最近はとんでもない出費の連続で自分でも大丈夫かなと心配になる。冷蔵庫も大型のものに替えた。収入と支出のバランスが大崩れで、回収できるようになるのは半年以上先という状況。のんびり構えている場合ではなさそう。FUJIFILMの新型中判一眼レフが出るまでに少しでも貯めておかないと。カメラマンの仕事を増やしていくしかなさそうだ。

 

#00092 新しくない手法

3DCGと立体視写真の組み合わせを考えている。VRゴーグルを使った360度見渡せるイメージ作りの可能性。考えても考えても、その先はフォトリアルなゲーム空間にしかならない。モデリングした物や空間にテクスチャーを貼っていく作業はまさにゲーム制作現場で長く使われてきたことだし、3DCGやVFX自体も20年以上前から映画制作の中でアップデートされてきたことで、それらの手法を使って仮に写真作品を作れたとしても、エンターテイメント業界が培ってきた技術を流用しているにすぎない。『新しい写真』は『新しい技術を使った写真』ではない。先端技術もまた古くなる時が来る。写真表現は時間が蓄積された時に初めて意味を持つものだとしたら、先端テクノロジーに頼ったものは時間が経つにつれ味気ないものになっていくのだろう。

デジタルカメラも日々進化している。次に狙っているカメラはFUJIFILMの中判デジタル一眼。D810を買った時はこれが壊れるまでは新しいカメラは必要ないと思っていたが、どうしても更新したくなるもので、その前のCANON 5D MARK2の時も同じことを思っていたわけで。デジタルの進化がどこまで続くのか、行き止まりまで付き合っていくしかなさそう。

 

ジャングル撮影はエイトバイテンからシノゴ分割撮影に変更。バイテンフィルムを高精細にスキャンするスキャナーが無い(あっても買える値段じゃ無い)ことと、ジャングルでの取り回しの難しさがネックになっていた。バイテンのオイルマウントスキャンを試してみたいがオイルはドイツからの取り寄せになり、その輸送料金がとんでもない金額だったので諦めた。日本に代理店ができることを願うが、フィルムスキャナの新製品がほとんど無い状態なので無理な話だろう。

 

分割撮影+スティッチングの技法も15年以上前からグルスキー達が試行錯誤してきたもの。『カメラ』や『パソコン』『画像編集ソフト』などデジタルの写真表現に必要なもの全てが、世界中の写真家や企業の技術の蓄積であり、その恩恵を受けて活動している自分が『新しい写真表現』と考え悩んだりしている状況が少し滑稽に思えてくる。先人が固めてくれた土俵の上で相撲を取らせてもらっていることに感謝しつつも、土俵はともかく他人のふんどし(過去に成立しているアプローチやプリント技法)で相撲を取り続けていいのだろうかと思うこともある。そこだけはいつか自分から派生したものを見つけていきたい。