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制作の記録と日記

#00005 強い写真

強い写真。それはどんなものなのか。イメージの斬新さ、モチーフが見せる強烈な印象、密度の濃いディティールなど、色々な種類の強い写真があり、それぞれが重なり合って一つの絵になっている場合が多い。そのボリューム調節をする能力が写真家には必要で、その出来上がるイメージをポジディブに寄せることも出来るし、ネガティブなものにすることも出来、そしてそれは写真の連なり、編集によってコントロールすることもできる。

今制作している写真の調節について考えている。調整が難しい。画面の中にポジティブな印象を持つものと、ネガティブな感覚を引き起こすものが混在しているからだ。構図やどのモチーフを入れるか、入れないかで、またはそのモチーフをどのくらい画面の中で見せるかで写真の印象が全然変わってくるので、画面の隅々までコントロールする細かい選択が必要な作業。去年まではそのコントロールする気持ちが強すぎて、写真表現の魅力でもある偶然性と無意識的な要素を許容することが難しくなってきてしまって、画面の隅々まで全て自分の意思で、そのイメージがそこにあるんだ、という感覚になっていた。しかしそれは写真の旨味を取り除いてしまうことになってしまうと思い直し、偶然入り込んでしまったものを楽しむ事が少しずつできるようになってきたと思う。

 

偶然撮れてしまった不思議な感覚の写真。それを単純に眺めたり分析したりする。偶然を楽しむこと、写真表現の楽しみ方の代表的なものの一つだ。写真を始めた時に感じたシンプルな驚きと感動、それを忘れないように努力をする瞬間があることに驚く。複雑に写真を考えすぎて、根本的な楽しみ方を忘れてしまっているんではないかと。原点を忘れずに、高みを目指す。大昔から言われていることが最近は身にしみる。