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制作の記録と日記

#00110 ドイツとベルギー

写真ギャラリーを運営していると当然ながら写真家がギャラリーに来てくれる。ギャラリーにはカフェスペースがあるから、お茶を飲みながらゆっくり話をすることができる。写真家と話をしていると、以前は毎年のように個展やコンペに出てキャリアを作ろうとしていたが今はその活力を失いかけている、という人も少なくない。作品を預けていたコマーシャルギャラリーが解散して発表の場を失ったり、就職、結婚と子育て、親の介護など、人生の中で写真家活動を控えたり辞めざるをえないタイミングがあるのかもしれない。けれどギャラリーに来た人には「辞めないでください」と無責任に言っている。写真家のキャリアを形成するには長い長い活動が求められ、その活動を続けられる資質こそが写真家だと思っているから。

『良い写真』を撮る人なんて山ほどいる。作品をまとめるスキル、センスは高いレベルの表現者になればなるほど拮抗している。短期的なキャリアを見ると、作品の優劣を競うことが重要視されている(もちろんそれも大事なんだけど)が、緊張感を保ち続け写真を撮り続けることが何よりも重要なわけで。だから写真家は長生きしなくてはいけない、と笑い話のように言うんだけど、かなりシリアスな話だと思う。

レベルの高い作品を長期間にわたり作り続けられるかどうか。写真に飽きないことが肝要だ。

 

 

3月はベルギーと、ドイツはミュンヘン へ視察。ギャラリーと古本屋とビール工房とバー巡り。アートと食文化をどのように組み合わせ、機能させているのかを具体的に見て回ろうと思っている。