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制作の記録と日記

#00071 アートバーゼル香港2017

香港視察が終わり新年度の準備と撮影を再開。今回の視察もやはり予定を詰め込みすぎて少し朦朧とした。日本だとギャラリーの巡回ルートも決まっているし土地勘もあるので問題ないのだけど海外だとそうもいかず、チューリッヒやベルリンのようにアートマップもないので自力でギャラリーをサーチしてたどり着かないといけない。ネットですぐに発見できるギャラリーはごく一部だということをバーゼルで思い知らされた。ネットで見つからなかったギャラリーが多く、後で調べてみるとフェイスブックしかサイトを持っていないギャラリーや、検索の上位に反映されないギャラリーもあり一回の視察では全てのギャラリーを訪れることはできなかった。もしリストアップできたとしても時間的に回りきれなかったと思うけれど。

アートバーゼル香港をくまなく見て驚いたのは、写真プリントの販売が思っていたより多かったことと、一般的に知られている写真家の作品は全体の数パーセントしかなかった事だ。知っていたのは日本のギャラリーから出ている写真家と張照堂などのアジアを代表する作家達。アジアのアーティスト比率は当然高い。ヨーロッパではティルマンスとシュトルート、ルフくらい。自分の勉強不足もあるが、多くは写真界では取り上げられていない写真表現者達だと言える。この分裂が居心地の悪い部分なんだけど、チェックしてきた各アーティストを掘り下げていく事で違いが少しずつ分かってくるものなのでじっくり進めていきたい。

アートフェアに出展するには出展料が必要で、それに加えて運搬費や保険なども入れると数百万が必要になってくる。展示できる壁面もスペースも限られている中でギャラリーは利益を出さないといけないので、展示されている作品は1点もののペインティングや立体作品がメインとなる。写真作品もルフのように一点で表現できるような作品はあまり無く、大きいプリントとはいえ壁面を限界まで使って出来るだけ点数を多く展示している写真作品が目立った。写真作品のコンセプトとストーリーを限られた空間で合理的に伝えることの難しさを考えてしまったが、今後どのようにフェアと関わっていくか非常に参考になった視察だった。