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制作の記録と日記

#00092 新しくない手法

3DCGと立体視写真の組み合わせを考えている。VRゴーグルを使った360度見渡せるイメージ作りの可能性。考えても考えても、その先はフォトリアルなゲーム空間にしかならない。モデリングした物や空間にテクスチャーを貼っていく作業はまさにゲーム制作現場で長く使われてきたことだし、3DCGやVFX自体も20年以上前から映画制作の中でアップデートされてきたことで、それらの手法を使って仮に写真作品を作れたとしても、エンターテイメント業界が培ってきた技術を流用しているにすぎない。『新しい写真』は『新しい技術を使った写真』ではない。先端技術もまた古くなる時が来る。写真表現は時間が蓄積された時に初めて意味を持つものだとしたら、先端テクノロジーに頼ったものは時間が経つにつれ味気ないものになっていくのだろう。

デジタルカメラも日々進化している。次に狙っているカメラはFUJIFILMの中判デジタル一眼。D810を買った時はこれが壊れるまでは新しいカメラは必要ないと思っていたが、どうしても更新したくなるもので、その前のCANON 5D MARK2の時も同じことを思っていたわけで。デジタルの進化がどこまで続くのか、行き止まりまで付き合っていくしかなさそう。

 

ジャングル撮影はエイトバイテンからシノゴ分割撮影に変更。バイテンフィルムを高精細にスキャンするスキャナーが無い(あっても買える値段じゃ無い)ことと、ジャングルでの取り回しの難しさがネックになっていた。バイテンのオイルマウントスキャンを試してみたいがオイルはドイツからの取り寄せになり、その輸送料金がとんでもない金額だったので諦めた。日本に代理店ができることを願うが、フィルムスキャナの新製品がほとんど無い状態なので無理な話だろう。

 

分割撮影+スティッチングの技法も15年以上前からグルスキー達が試行錯誤してきたもの。『カメラ』や『パソコン』『画像編集ソフト』などデジタルの写真表現に必要なもの全てが、世界中の写真家や企業の技術の蓄積であり、その恩恵を受けて活動している自分が『新しい写真表現』と考え悩んだりしている状況が少し滑稽に思えてくる。先人が固めてくれた土俵の上で相撲を取らせてもらっていることに感謝しつつも、土俵はともかく他人のふんどし(過去に成立しているアプローチやプリント技法)で相撲を取り続けていいのだろうかと思うこともある。そこだけはいつか自分から派生したものを見つけていきたい。