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制作の記録と日記

#00100 ジャングルをセレクトする

ジャングル写真のテストスキャンとスティッチングが終わりセレクト作業に入った。スキャンはフラッドベッドで簡易的に行い、セレクトされたカットだけハッセルのスキャナで本スキャンを行う流れ。

シュトルートを筆頭に森やジャングルを撮影している写真家は多く、戦場跡をテーマにしている作家も多い。戦場跡のジャングルはいるだろうかと図書館やネットで調べても出てこない。取り掛かるテーマ、モチーフにはほぼ必ず先人がいて発表後は彼らの作品を参照されることになる。今の時代まで誰も撮った事がないテーマやモチーフはあるのだろうか。

ロジャー・フェントンが撮影した戦場跡写真を見て以来、静かな風景写真を見て心がざわざわする感覚に惹かれていった。フェントンとはタイプや動機は違うが、日本人だと江成常夫や米田知子などもいて、戦争跡の風景という括りでも戦争の気配が色濃く残る状態から、もはや気配も痕跡もない状態まで様々だ。

先日は実家に戻り、祖父の若い頃の写真や戦時中の写真、戦友会で撮っている集合写真などを引き取ってきた。祖父は写真を撮るのが好きで、戦友会の大量の写真も丁寧にアルバムに整理していたので助かった。

祖父の残した写真、戦時中に南の島で起きた出来事、自分が撮ってきた南の島の風景。これをどのように編集していくのかがこのジャンルの写真表現の肝になってくる。どこに焦点を当て積み重ねていくか。選択肢は山ほどある。

 

新聞に写真を転写するシリーズはセレクトを終えプリント作業に入った。今週までに終わらせなければ。

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#00099 展示の計画

妻の妊娠から出産、子供との生活を撮影し新聞紙に転写するシリーズは安定期に入り、後は積み重ねていくのみというところまで形になってきた。1_WALL展以外ではまだ発表していないし、子供も生まれて1年以上経つのでここらで一回まとめて見ようと思い始めている。写真の選定と新聞紙の組み合わせを行い、製版してコツコツ刷っていく。写真集を作るには作品を高精細でスキャンする必要があるし新聞紙用の紙に印刷する方法を見つけなければならなかったが、ツテを頼ってどうにかベストの方法を知ることができた。

ニコラス・ニクソンの「The Brown Sisters」やフリードランダーの「Maria」など、自分近い存在の被写体を撮り続けることで立ち上がってくるもの。愛しさと、残り時間の予感。自分の場合にはそこに新聞というメディアの寿命も加わってくる。どれが先に終わるのか、考えたくはないけど意識してしまう。

11月後半から12月いっぱいはスクリーンプリント作業に追われそうだ。

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#00098 スキャンの精度

ジャングルのフィルムスキャン作業の日々。分割撮影をしているのでトーンや明るさをできるだけ合わせてスキャンしないと後の合成が面倒になる。

気になる部分は多々あるが撮影ミスは思ったより少ない。いけるかもしれない。

 

先週は「写真集飲み会」で写真集を買いに高速バスで東京に出かけた。シュトルートの新作とOVERLAPSの写真集、面白いアートブックを数冊購入。日本と海外の写真集の違いを感じる。

 

ギャラリーのリノベーションは相変わらず超スローペースで進んでいる。無い袖は振れない状態が続いているが、理想とするものを作れないと意味がないのでお金を集める仕事に集中しているところ。多くの写真家の作品を発表する場になるよう、後少しの辛抱だ。