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制作の記録と日記

#00109 ギャラリーとカフェバーと古書店と出版社と

ギャラリーの企画は月に一回で変わっていくので、展示作家と連絡を取りながら落ち着いて企画を進めることができる。展示する写真家も若手中堅ながら経験豊富な人ばかりなので、こちらがアレコレ何かをするという事もない。3月までの展示が決まり、4月以降で展示してくれる写真家探しと打ち合わせを繰り返して行く。

 

カフェバーはカフェタイムの利用がほとんど無く、19時以降の来客が少し、といった感じ。山梨の男性はよく飲む人が多いので、バータイムの利益でどうにかなっている。酒場として使ってもらえるのが経営としては有難いが、展示作品を管理する点ではハラハラすることもあり、お客さんのアルコール配分を少し気をつけていく必要があると感じている。あくまでギャラリーなのだから。それでもうちに来てくれるお客さんの優しさには助けられていて、ギャラリー運営の為にとカンパしてくれたりたくさん注文してくれたり。時間とお金をかけてカウンターを作った意味があった訳だ。

飲食の提供に関して新しいプロジェクトが進みだしていて、西桂町を代表する特産品が生まれるかもしれない。

 

古書店としては山梨県の古書組合に加入し、さっそく来週から東京の古書会館の市場に行ってみようと思っている。入札のルールはまた今度山梨の理事長からレクチャーがあるみたいなので、市場へは顔を出すだけだけど、どんな写真集が流通しているのかを知りたい。写真集に囲まれて生きていけるなんて考えただけで嬉しくなる。仕入れの為の資金は公庫から借りることができた。借金返済のためにもどんどん本を買って利益を出していかないと。自分の写真集コレクションはまだ売ったことがない。売りたくないと思ってしまうので、仕入れた本を躊躇せず売ることができるのかが唯一の心配要素だ。

 

出版社を作るためにあれこれ考えてきた。家のスペース的に輪転機を買うわけにもいかず、A2サイズのプリンターでは写真集のサイズがかなり制限されてしまうし、印刷コストもかかる。印刷コストを抑えるためにも思い切って大判プリンターを買うことにした。来週末にはギャラリーにB0サイズのプリンターが届く。このプリンターを使って写真家のプリントや写真集の製作をしていく。写真集に向いているロール紙の選定に時間がかかるとは思うけどコツコツ進めていきたい。

 

 

 

 

#00108 古本屋開業

現在古書組合の加入準備を進めている。準備と言っても加入金を払えば組合員になれるので、そのお金を集めている。

古書組合に加入するメリットは何と言っても仕入れ手段が大幅に増え、仕入れが楽になることだ。持っている本を売るのは比較的簡単でも、売るための本を手元に増やすのは難しい。10年くらい前に流行った、せどりによる仕入れも今は簡単ではない。学生の頃はブックオフに行き、並んでいるアート系の本の値段を調べるのが好きだった。500円で売っていたケイト・モスの写真集が、中野のアートブック専門店では6000円で売られているような時代で、ブックオフのアートコーナーはお宝が眠っている場所だった。今はほとんどの本がネットで出回っている価格帯に準じていて、面白みのない場所になってしまった。

 

写真集や画集などのアートブックを専門に扱う古書店山梨県には無いので需要が出ると良いけど、今はどの古書店もネット販売がメインになっていると聞く。自分も古本屋巡りが好きで都内に行く時はできるだけ本屋に行くが、本の買い方はこれまでとは違ってくると思う。ドイツへの買い付けも準備しているが、それは利益の出る本を大量に買うというよりはプレミアになっている高価な写真集を見つけてくるのが目的なんだけど、20万円をかけて買い付けに行き、その費用を超える利益を出す苦労を考えたら息が少し苦しくなる。「日本の古本屋」の海外版のようなサイトもいくつかあるわけで、ネットで海外の本屋から直接買った方が合理的だ。それでも行く理由はドイツの文化やアートシーンも同時にリサーチしたいから。いつものように詰め込み旅になると思う。

 

 

#00107 写真祭と自主ギャラリーの役割

先日は六甲山国際写真祭のワークショップに参加してきた。自分の作品のブラッシュアップという目的の他にも、写真祭の運営の仕方を学んだり関西の写真文化を知ることが目的にあり、いくつかのギャラリーに伺い運営方法や企画の進め方など話を聞いてきた。

 

写真文化を今よりもっと充実させ、これからの写真界を支える若い写真表現者を支援する。自分が考える写真祭のあり方だ。六甲山国際写真祭にはその重要な部分に多くのヒントがあったように思う。何よりも写真祭の公募展示に参加している作家(自分も応募したが落選....)は知名度やキャリアに関係なく、国際写真祭の名の通り国外から送られて来た写真家の作品が半数以上あった。

写真祭に関わらず、アートフェスティバルとして成立させるためには知名度があり集客力のある作家の数を増やし、その「引き」に集まる若手表現者に向けたポートフォリオレビューやレクチャーを開き利益を確保するのが普通の運営だと考えていたが、少なくとも今年の六甲山写真祭はそうではなかった。この運営方法はコストのかかるものだと思う。「若手写真家にチャンスを与える」ことは写真際にとって重要ではあるが、作品のブラッシュアップに重点を置くのか、それとも出版や展示の機会を提供するのかでも方向性が大きく変わってくる。若手にとってはそのどちらも必要なわけで、ポートフォリオレビュー前に数日間ワークショップを開催しブラッシュアップをサポートし、その後ギャラリストやキュレーターによるレビューを行い出版のチャンスを提供するのがベターだと感じたが、そんな至れり尽くせりのイベントのコストを考えると恐ろしい。町おこし系の助成金に頼るのはあまり良いことではないが、全国のアートフェスが自治体の予算や助成金に支えられている現実は無視できないことだと思う。

 

山梨県の写真表現者がどれだけいるのかを今後調査する必要がある。でも4年過ごしても厳密な意味で写真表現をやっている人にはまだ出会っていない。